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せんたーあとひゃくにちきってた。なにをいってるかわからねぇとおもうが(





 はは、笑ってらんねぇっすorz
もう100日きってるとかシャレになんねぇ。
 と言う訳で更新しときますね。
一応、律正編メインは終了っす。



 律正学園北門。
数名のチンピラが、その数倍の数のゴーレムを相手に奮闘していた。
「だー、もう。いつまでやってりゃいいんすか」
 一人の男は愚痴をこぼす。
その男の背中を守る様に戦っている他の男が答えた。
「しゃべってる暇あったら戦えよ・・・・ったく、愛染さんは負傷してんのにあんなけ戦ってんだから」
2人の視線の先には、また別の青年がいた。
 青年の髪は青く、長く、その服は白色の袴であった。
手には一振りの日本刀。
その刀が振られるたびに、周りのゴーレムが土煙を上げながら崩れ落ちる。
「あの人は別格だよ・・・・俺らなんかとは違う」
 よく見れば、2人も同じような日本刀を所持している。
が、その刀を力いっぱい振ったところでゴーレムは倒れない。
せいぜい動きを止める程度だ。
「だーもう、ネガティブ野郎が。いいから黙って腕を動かせ」
 一発、飛んできた拳を刀の腹で受け止める。
よほど頑丈な刀なのか、岩石の一撃に耐えていた。
「へいへい」
 その止められた腕を、もう片方の男が切り落とす。
こちらの刀も相当なもので、岩をぶった切った。
「あの人についていくって決めたんだろ?俺も、お前も」
 攻撃を刀で受けた男が続ける。
「んなの、死に物狂いで進むしかねーだろ」
そう言ってニカっと笑った。
「ついてくってだけで命がけったぁ流石っすよ」
男は苦笑して返した。

 ***

 ずいぶんと時間をかけてくれたもんだ。
おかげでだいぶ落ち着いた。
距離は5m弱。
だったら撃てないわけでもない。
「っつーか、さっきので分かるじゃん、ふつー」
 キレラがその距離を詰める。
腕を水平に、姿勢を低くした、初撃と同様の構えで走ってくる。
「あきらめてぶっ殺されろってぇの!」
 3m。
真正面。
でかいの一発喰らっとけ。
右腕を大きく振りかぶる。
「何ぃ?なぐんの?きゃははははは!ナタ相手に拳一つたぁ、てめぇ真正の馬鹿だなぁ!」
 キレラが腕を交差させる。
「そんなに死にてえなら、殺してやるって言ってんだよ!」
「殺す殺すうるせぇよ」
 振りかぶった右腕を、力いっぱい降ろす。
「あん?」
キレラとの距離は2m無い。
無いが、拳が届く距離でもない。
振り下ろされた拳はどこにもあたらず、普通に地面に落とされた。
「は?何してん─」

「<フィールドキャノン>」

 その拳の先。
つまり、桂木とキレラとの間に、大砲が一門地面から盛り上がる。
モコリと飛び出た太く、ごつい円筒。
要塞の一角に設置してあってもなんら不思議でない遠距離砲。
それが突如として学園の廊下に現れた。
「はぁ!?」
 そのまま走れば、この鉄の塊にぶつかると判断したのか、キレラは急停止をかける。
キキィと靴がこすれる音がして、止まった目の前にあったのは
「ご自慢の能力で止めてみろ」
大砲の銃口だった。
「き、きゃはは、はー・・・・」

 ***

「一直線に突っ込むなんて、僕のこと何にも知らないの?」
 やけに大きな体格の少年が一人、すらっと立つ長身の青年目掛けて突っ込んでゆく。
長身の青年は、迫る少年を見て、淡々と言葉を呟く。
「いいんだけどね?・・・・でもやっぱりちょっと悲しいかな?」
身長同様にすらりと長い腕を広げた。
傍から見たら、その少年を抱擁しようとしているかのように見える格好だ。
「『アウトバンカー』所属、能力”傀線の鎖儡”通称『マリオネット』、覚えれる?」
「ファイッ!」
 謎の掛け声とともに突っ込んだ少年を、青年は腕を広げ、囲うような動作で、止めた。
「っ??!」
 少年は何が起こったのか理解できなかった。
自分の突撃が、一切の衝撃無しに停止した。
少年の動作はピタリと止まってしまっている。
 青年との間にあるのはただの空間。
考えうる壁は、その広げた腕。
だがそんな馬鹿な。
「無知は惨めだね?うん?」
 青年が広げたままの腕を、円状に回す。
それに合わせるように少年の体もくるりと一回転する。
「少しは楽しませてよ?」

 ***

 何が起こっているのか。
木本も同じ意見だろう。
 渡はほぼ動いていない。
たとえば足を一歩前に出す。
たとえば体を少し傾ける。
たとえば手首を軽く振る。
つまり、戦闘とは関係ない動き。
勿論木本との距離は開いたままだ。
 それなのに、渡が何かアクションを起こすたびに木本の鎧が火花を散らす。
ガキン、と金属と金属がぶつかり合う音を響かせる。
「て、めぇふざけんじゃねえぞ」
 木本が呻いた。
その声は、あたり前だが、苛立っているように聞こえる。
「さっきからちまちま『斬りつけて』ばっか来やがって。やる気あんのか」
 それを聞き、渡が「ははは」と笑う。
「いやはや、申し訳ない」
そう話す間も火花は飛び続けている。
「本当のことを言いますと、私はここであなた方の動向を止めるだけでいいのです」
 僕たちがこれ以上進まないことに意味がある、というのか。
というか、僕は加勢しなくていいのか、これ。
「とは言っても無駄な殺生を無くそう、と思っている訳ではありません」
 ジャキン、と音がしたかと思えば、いつの間にやら渡は両手にサーベルを持っている。
若干湾曲した、刀身が細めの西洋刀。
「純粋に打開策を考えていた次第なのです」
「・・・・で、俺を突破する方法でも思いついたのかよ」
 ガチン、と両の拳を突き合わせ、軽口をたたく木本。
「ええ、例えば─」
 カツン、それは靴が地面に当たる音。
木本の目の前に瞬時にそいつは現れる。
さっきまで離れた位置に建っていたはずの渡はかき消えていた。
サーベルを持つ手は後ろへと引かれている。
「─これでどうでしょうか?」
 手を一気に前へと押し戻した。
木本の胴体へと刃は突き刺さる。
鎧は凹み、それでも止まらず、サーベルはずぶりと中まで侵入した。
「が・・・・あっ」
 木本はたまらず声を漏らした。
ふらつくように体が傾き、右足が地面を離れた。
 僕は前へと倒れる木本が、しっかりと渡の手をつかんだのを見た。

 ***

 さっき高原達3人が通って行った裏口に、一体のゴーレムが近寄っていくのが見えた。
「全く・・・・操者は相当人が悪い」
 目の前には、今相手にしているゴーレムが二体。
だがその二体に向いていた体を曲げ、裏口に向かっているゴーレムを
「<地走り>!」
落とす。
 寸前まで迫っていたゴーレム一体の手が体へと伸び、ぐしゃりと肉体が軋む音がした。
「あ、愛染さん!?」
「は、はは、私の役目は彼らの背中を『守る』こと」
 右手をくるりと回し、自分をつかんでいる岩の大腕を切り落とす。
「安心してください。私は確実にあなたたちを『守り』ます」
 そういって刀を敵へと向ける。

 ***

「なんつってなぁ」
 射出された大砲をナタの側面で受け止める。
ぶつかり、軌道が逸れてあらぬ方向へと飛んでいく。
「ざーんねん、てめぇじゃ勝てねえっつってんだろ?」
「避けたな?」
 やつはナタを使って球を跳ね飛ばした。
つまり、ご自慢の『重力の鎧』は大砲級の攻撃は防げない、ということだ。
「無駄なあがきはやめて、さっさと死ねつってんだろうがよぉ!」
 十分攻撃範囲へと進んでいたキレラは、<フィールドキャノン>を飛び越え、こちらへと着地。
すぐさま下から上への切り上げを放つ。
 流石にこの行動は読めていた。
半身をずらす様に左足を下げる。
 ナタを避け切ったところで、キレラが手を返す前に拳を突き出す。
「<ナックルバレット>!」
「気かねぇって。<グラビディオーラ>!」
 目には見えないが、キレラを包み込むように重力の壁が現れる。
「甘いな」
 だが、俺はキレラの体に拳が当たる前に、その手を止めていた。
やつと拳の間に若干の隙間がある状態で、発砲したのだ。
 敵との距離を0距離にすることで抑えられる衝撃が、もろに腕、ひいては全身へと伝わった。
まるで後ろに跳躍したかのように体が後方に飛ぶ。
唖然としたキレラを置いて、俺はヤツとの距離を『射程距離』まで引き離した。
「フェイクだよ」
 左腕を、肩から指先にかけてまっすぐにのばす。
指先が指し示すのは遠藤 キレラ。
「<ロングバレット>!」

 ***

 カズタカがむくりと起き上り、視線を前へと向ける。
青年は既に数mはなれている。
「名前は」
「うん?」
 青年が不思議そうに首を傾げる。
「さっきは自分の所属とか能力しかしゃべんなかったろ。あんた名前は?」
「ふふ、君は本当に面白いね?いいね、いいよ、素敵だね?」
 カズタカは膝に手をついて、フーっと一息呼吸する。
「僕の名前は狩崎 幸、これで満足かな?」
「僕は金谷 カズタカだ」
 またも狩崎は「ふふふ」と笑う。
「これから『遊ぼう』っていうのに自己紹介なんて・・・・楽しいね、愉快だね?」
「ファイッ!」
 カズタカが駆ける。
自分の持てる全速力、全筋力を持って、敵へと向かう。
「<カノン>!」
「<エンゲージ・ロード>、いいね、いいよ、楽しもうね?」

 ***

「これは・・・・」
 木本が倒れると同時に、自分の体が引っ張られたことに気がついた渡の顔に驚きの表情が浮かぶ。
「へっ、捕えりゃこっちのもんだ」
 ふらつき、倒れこんだ右足をしっかりと地面に着地させる。
「う、おおおおおお!」
その右足に力を込め、思いっきり掴んだ手を投げ飛ばす。
力んだせいで、サーベルが刺さった箇所から血がにじみ出るが、木本はそんなの気にしていないようだった。
「う、ぐっ」
 投げ飛ばされた渡は、背中から地面へと激突し、うめき声をあげた。
「は、はは、まだ、まだだぜ」
それでも木本の方がダメージはでかい。
強がる声に、荒い呼吸が混じっている。
「これは、少し油断いたしました」
 投げ飛ばした程度、すぐに渡は立ち上がる。
渡が右手を振れば、ヒュン、という音とともにその手にサーベルが握られる。
木本に刺さっているのを戻したわけではなく、また別のものを用意したらしい。
一体どうなってるんだ。
「次は、無いですよ」
 先ほどの投げを警戒してか、今度はすぐに突っ込んでくる気はないらしい。
サーベルも一本のみだ。
左手を前に出し、手のひらをこちらに向け、指をぴったりと閉じている。
まるで照準でも合わせるかのようだ。
右の手は切っ先を下に下げた状態で、後ろに引かれている。
「行きます」
 宣言とともに、渡の呼び動作無しの瞬間移動による斬りこみが木本を襲う。
気付けば、木本の兜の真ん前に渡りの顔があった。
「終わりです」
 サーベルがキラリと光り、そのあやしく輝く剣先が、とどめを刺さんと、木本の鎧に突き立てられる。

 「馬鹿が」、と木本が笑った。
「<ニッグホッグ・シールド>ォオ!」
 木本の鎧より周囲に射出される鉄のトゲ。
それらの速度は弾丸に等しい。
至近距離、それも真ん前に移動していた渡に、それが避けれるはずがなかった。
「な、なぁあ!」
 突き出した右腕に、何本かのトゲがズブリと突き刺さる。
それにより突き出した腕は、逆に押し戻される。
腕だけではない。
そのトゲは兜からも射出される。
眼前にあった渡の顔にも、鋭くとがったトゲは襲いかかる。
「が、あああああ!!」
 トゲによる攻撃はそう長くは続かない。
が、
「まだまだぁ!」
木本が間髪いれずに、トゲの威力で吹き飛ぶ前に、渡をつかむ。
「っ!」
 とっさに直撃だけは避けたのか、かすり傷だらけの顔に焦りが浮かぶ。
木本は掴んだ腕をこちらに引く。
手をぱっと放しても、引き戻された渡が後ろに戻ることはない。
力いっぱい握った拳が、戻ってきた渡へと撃ち込まれる。
「<アイアン・フィスト>ぉおおおおお!」
 ジャキン、という音がして、木本の腕の周囲にリングが浮かび上がる。
それらにはトゲがついていて、全て拳の方へと向いていた。
ギュルルルと回転をしながら拳の周囲を回るトゲ、破壊力は十分だ。
 渡は唇を噛み、それでも戦う意思を手放さなかった。
避けられない拳を前に、それでも最後に腕を振るった。
「ぁぁあああ!<ラピット・クロウ>ぉお!」

 ***

 倒れている渡の脇にドシンと座り込み、木本は胡坐をかいた。
「うーん・・・・結局なんだったんだろうね、コイツ」
「さぁなぁ・・・・いやまてよ」
 木本が顎に手を当て考え出した。
すごい、前から思ってたけどコイツって思考能力あるんだ。
「おい、その目、止めろ」
「はい」
怒られた。

「こりゃちょっとカズタカまずいんじゃねーのか」
「あ・・・・!」
 よくよく考えればあんなうるさいやつが、無言でどっか行ったりするか?
いや、まぁ・・・・無視してたから言いきれないんだけどさ。
 なんだかんだ言ってあいつはさみしがり屋だから、結局僕らについてくるはずなんだ。
いや、まぁ・・・・無視してたから言いきれないんだけどさ。
 第一僕とあいつは腐っても親友・・・・えっと、親友・・・・っちゃあ親友なのかなぁ?
いや、まぁ・・・・無視してたから言いきれないんだけどさ。
 こんな状況で自分一人スタコラ逃げ出すなんてことはない。
いや、まぁ・・・・無視してたから言いきれないんだけどさ。
「おい、いつまでやってんだソレ」
「はい」
怒られた。

「俺らが襲われたっつーことは、あいつもやべえぞ」
「ま、待って!」
 立ちあがって走りだそうとした木本の手を取る。
というかカズタカの為に木本が動いてくれるなんて、驚きだ。
「もし僕らに気づかれずに敵がカズタカをさらったんだとしたら、この道を引き返したって無意味だよ!」
「う、む・・・・」
 僕ら3人が居る中で、2人に全く悟られずに1人を誘拐。
そんなめんどくさい真似をするくらいだ。
このように気づかれた後の対策だってしているだろう。
「クソ!じゃあどうしろってんだ」
 木本はまた座り込んだ。
「あいつのことはあいつに任せて、僕らは進むし、か・・・・」
「・・・・あ?何急に黙、って・・・・」

 僕らが居たのは校舎の端を通っている廊下だった。
つまりどういうことかと言うと、廊下全体が大窓に面している、ということだ。
勿論そういう訳で、窓の向こう側がすっきりよく見える。
 この校舎は北門から数えて一番目の校舎だ。
三棟あるうちの、一番上、というわけだ。
そしてその大窓から見える向こう側には、順序的に当然真ん中の棟が存在する。
「何、してんだあいつ」
「ていうかまじで戦ってんのかよ」
 その大窓から見える先には、同じように大窓に面した廊下があり、中には、誰かと相対する、金谷 カズタカがいた。
相手はなんかかっこいいやつだった。
どっちを応援しようか。

 ***

 指先から硝煙が昇る。
その煙の向こう側。
女が一人倒れていた。
「っふう・・・・ったくめんどくせえ警備員だな」
 一応女の気を確かめ、気絶しているところを確認し、再度探索を開始しようとする。
「・・・・」
 『トリガーハッピー』の銃弾は大の大人をも吹き飛ばす、それは宣伝文句だ。
が、全くの嘘ではなく、全くの本当。
 その中でも<ロングバレット>は狙撃を想定した一点集中射撃。
故に、他のスキルよりも威力はかなりでかい。
 そんな技ぶち込んどいて、後は知らん、廊下に置いてけぼり。
しかも見た目は中学生に見えなくもない少女。
「・・・・・・・・」

「っとにめんどくせえ警備員だぜ」
 自分で撃った箇所を、適当にシャツを破いて包帯代わりに巻いて応急処置。
その少女を背中に背負いながら、桂木 修司は現在、目的地を少々変更し、うろうろ彷徨っている。
「っつーか、校長室もわかんねえんだから保健室も分かんねえよな。馬鹿か俺は」
 そう独り言を漏らしながらも、背中の少女を降ろすことなくふらふら歩きまわる。
つまり彼は今、保健室を探して侵攻中なのだ。
暢気なスネークもいたもんだ。

 ***

 遠藤 キレラは高校2年生だ。
能力”自防の圧近”通称『グレインフォート』のホルダーだ。
 その能力を買われ、現在はここ、律正学園の『アウトバンカー』という部に所属している。
その目的は「外敵の排除」。
 律正学園の建ち位置より、容易にここが攻められると考えた、学園が用意した迎撃部隊。
 そういった攻撃は基本、傭兵的位置にある木本のような問題児が対処をするが、いかんせん問題児。
どんな不備が起こるか分からない。
学園はそんな問題児にまかせっきりでいるはずもなく、こういった部署を設けた。
 その中でキレラは、ひたすら敵を斬ることを学んできた。
よく聞けばこの学園は『学校』という肩書を持った巨大な『娯楽施設』らしい。
 そう言われれば入学してからずっと戦闘ばかり学んできたのも頷ける。
そういった『娯楽』なのだと分かれば簡単な話だ。
 中学からずっと、5年に渡ってひたすら自分の戦い方を学んできた。
その間、いつも学園を守っている問題児らが自分に勝る、なんて考えは湧かなかった。
 例外と言えば『サイアク』だけ。
あいつだけは別格だ。
その例外を除けば、自分が、ずっと鍛錬に鍛錬を重ねてきた自分が、負けるはずがない、と。
 実践を経験していない訳ではない。
校長は数回、私用でゴロツキを呼んでアタシらに試し切りをさせていた。
 訓練兵なんかじゃない。
立派な戦闘兵だ。
 ゴロツキなんかじゃない。
アタシは兵士なんだ。
 そのはずなのに。
アタシは負けた。
 『銃器』の能力に、『重力』で戦ったのにだ。
遠距離攻撃には圧倒的に有利な、このアタシの能力で負けたんだ。
 アタシは弱いんだ、と。
今、こうやってコイツに背負われている状況で。
こいつの背中を完全にとっている状況で。
それでも攻撃できないほどにアタシは弱かったんだ、と。
 何が5年だ。
何が『アウトバンカー』だ。
何が”自防の圧近”だ。
何が『グレインフォート』だ。
何が兵士だ。
何が遠藤 キレラだ。
 アタシは、こんな男の背中もロクに斬れないじゃないか。

 ***

 僕の罠にノコノコひっかかった間抜けなヤツだと思ってみたら、意外にねばるねぇ。
でも、結局僕には指先一本触れられない。
持久戦で行けば彼はやたらと体を動かしているようだし、負けることはない。
僕は指先を動かすだけでいいんだから。
「どうするの?ほら、かわしてみてよ?」
 そう言って右の薬指と、左の人差し指を、クイクイ、と曲げる。
上下ななめからの二段攻撃だ。

 とりあえず、狩崎の攻撃が何かは大体わかった。
おそらく両手の指先と連動した極細の糸かなんかなんだと思う。
 ただそれの強度が恐ろしく固い。
僕の<カノン>を受け止められるくらいだ。
 それに細い分、何層にも亘って多種多様な攻撃を仕掛けられる。
分が悪い。
 とりあえず全動体視力をフル稼働して、相手の指先を見て、ひたすら迫りくるであろう攻撃をなんとか回避するばかりだ。
攻撃を繰り出してそれを防がれると、全方位から攻撃されてどうしようもない。
とにかく避ける。
「っ!くっ!」
 左下から当てられた攻撃を、掠りながらも避け、右横からの攻撃に直撃してしまう。
「あれ?むずかしかったかな?」
 本気の一撃で無かったのか、たぶん蚯蚓腫れができてるだろうなぁ、レベルの一撃が背中にじんわりと痛む。
「たった二段でその程度?一体僕がどれだけ繋げられると思ってるのかな?」
 くそ。
本気でどうしたらいいか分からない。
「くそっ!く、そ・・・・」
 ふと視界の端に気になるものが映った気がした。
こんな戦闘を繰り広げている最中にそんなものに気を取られている暇はない。
そう思考したけれど、視線は無意識にそちらに向いてしまった。
 僕が居たのは長い廊下だった。
片面は教室のドアがずらりと並んでいて、その反対側には大きな窓が、廊下に沿うようにしてずっと続いている。
 その窓の向こう側。
向こう側にはまた別の校舎が建っていて、そちらも同じように窓、廊下という造りのようだ。
 その向こうの廊下に、見覚えのあるフォルムの2人がこちらを見ているのが、見えた。
「いや、何してん・・・・」
「ん?」
 ぐ、と身に細い糸が食い込む感覚がした。
にっぶい痛みがする。
 相手の何の仕掛けもない一直線攻撃をモロに受けてしまうほどに、意識がそちらに行ってしまっていた。
 でもおかしいでしょう。
何で僕がこんな苦しい戦いをしてんのに、あんたら二人はこっちをぼーっと見てんねん。
 僕の視線が、まっすぐそちらに向こうとした傍で、急に勢いが強い糸が来た。
集中力が切れたと思った狩崎が、無駄な仕掛け無しの直線攻撃をしてきたようだ。
「おおっと!」
「あらら、流石に分かっちゃう?」
 一発でも喰らったら危ないのは勘弁。
 とっさに交わしたけれど、さっき見たときに、木本らしきヤツが「10」のサインを送ってたのを見れた。
このやり取りで約3秒。
いくら木本でも10分後、なんてひどい合図は送らないだろう。
だから、左前へ飛んで、完全にヤツをこちらに向かせる。
「っせいっ!」
「おや、急に動いて大丈夫?」
 思惑通り、狩崎の正面はこちらに向いた。
 指先を使った精密操作。
確実にこちらを視覚してないと、完璧にこなせないと見える。
 起き上って、次の相手の攻撃を見る。
これまでで6秒。
こいつの気が逸れるのは一瞬。
その為に、身をかがめて、いつでも撃ちこめるように力をためる。
「こんなところで身を丸くするなんて、狙ってくれって言ってるようなものだよ?」
 右の薬指、中指、親指、左の小指と人差し指、親指の、今までで最大の多角攻撃。
一番大きなの攻撃故に起こる、一番大きな隙。
任せたぞ、木本!

「へっ、やんじゃねえかよあいつ」
「動体視力は昔っからいいからね」
「んじゃま、いっちょ加勢してやるとするか」
 開け放たれた窓。
そこから突き出された大きな右腕。
力いっぱい広げられた手のひら。
ぐぐ、っと角度を調整し、固定。
「<ニッグホッグ・シールド>!」

 ぴしり、と背後の窓に亀裂が入ったような異音がした。
振りかえる前に激痛が走る。
「こ、れは?」
 ぎゅるるると回転しながら背中に何かがめり込んでゆく。
その痛みのせいで、手元は狂い、振り下ろした糸はあらぬ方向へと逸れてゆく。
「ファイッ!」
 まずい。
「<エリク・ロード>!」
とっさに右手だけで相手と自分との直線に電撃の網を張る。
 くっそ。
一体どんな手使いやがったこのガキが。

 やるじゃん、木本。
予想通りだ。
 思った通り狩崎の糸操作は繊細なんだ。
だからちょっとの傾きで滅茶苦茶になる。
 今は攻撃してる暇なんてないだろう。
だからこのスキルは防御用。
飛び散る火花の位置から考えて、僕と狩崎の間のみ。
 ますます狙い通りだ。
木本の援護射撃を期待して、やつの背後をそっちへ向けて、なおかつ僕は身をかがめた。
「<カノン>」
 ヤツの防衛戦を『飛び越えるために』だ。
ぎりぎり張った糸が防御できるのは、ここからヤツまでの直線攻撃のみ。
あの糸だ。
その防御に<カノン>を打ち込んで勝てるかどうかは分からない。
 だったら最初からそんな危険な突破をしなければいい。
ヤツの糸を無視して上へ飛ぶ。
天上から跳ね返っての攻撃、上からの強襲をしかければ、いくらこいつの操作が正確だって守りきれまい。
 喰らえ。
上空直下、忠告しておくが僕の弾は少々でかいぞ。
「<カノン>!」
 足を『床』に着け、力をためてまっさかさまに下降する。
「ぬ、ああああ」
 今更手を引いたって間に合うものか。
潰れてひしゃげてお前が虐めたその生徒と同じように、
「一緒になって床に這え!」

 ***

「て、めぇは」
 保健室を探してさまようこと数分。
廊下は廊下だが、階層が違う廊下。
静まり返って人気のない廊下で会った2人目は、やたらと早い終点、校長本人だった。
「おやおや、拾ってやった恩を忘れて『てめぇ』とはずいぶん威勢がいいですね」
「ふっざけんなよタヌキ爺」
 律正学園、アウターヘブンの領土のど真ん中に存在する、教育機関。
この国で活躍する人々の中には、多数この学園の卒業者が存在する。
 その大きな教育機関を修める校長という役職。
そして、このいざこざの発端そのもの。
「ヤツらから話を聞いた」
「・・・・ほう、何のかね」
「てめぇが全部やったのか」
「全部、とは?」
「とぼけんじゃねえよ」
 怒り、揺れる桂木の背で、ビクリと遠藤が震えた。
「てめぇで手に入れて・・・・てめぇで恋を始末したとはどういう料簡だ!!」
「ああ、そんなこと・・・・」
「そんなこと・・・・だと?」
 ボトリ、と桂木の背中から遠藤が落ちた。
だが遠藤は「いたい」、とそう声を発することができなかった。
「『アレ』は少々規格外でね・・・・随分苦労したよ」
「『ア・・・・レ』?」
「いやいや、あまりにあまりで『お客』にも飽きられかけてねぇ・・・・あれが最良の選択だったと言うべきか」
「クソ虫がぁぁああああああ!!」

 ***

 あれからちょっと時間をかけて渡り廊下を利用してカズタカと合流した。
「というか何でカズタカは別棟なんかにいたん」
「さぁ何でなんだろう」
「俺らを別々にするにしては、ちぃと抜けてるよな」
「うーん」
「ま、何はともあれこっからどうしようか」
 とりあえずそこらの扉をぶちやぶって(木本が)教室のひとつを使ってこうやって談義をしているところだ。
人気がないし、あんまりうろついてさっきみたいに分断されても困るしね。
「ところで『トリガーハッピー』はどこいったんだろう」
 どうしようか、と悩んでいる中で、カズタカがそんなことを言った。
それほど歩いた訳ではないので、姿が見えないのも不思議ではないけれど。
「あいつの技は銃声っていうでかい音がするからなぁ・・・・気付いてもおかしくないんだけど」
「うん、しないよね。銃声」
「俺らと同じように襲われたとしても、あいつなら心配はいらねーだろうけどな」
 そんな僕らの耳に、どでかい発砲音がドパンと届いた。
タイミングがいいのか悪いのか。
「おい、こりゃぁ・・・・」
 音的には下の方の階だろうか。
「近いね、行こうっ!」
「うん!」

 ***

「が、はっ」
「君『程度』、私が制御できないとでも?」
 この爺、何をしやがった。
激昂した俺の初撃を避けたのはまだ分かる。
だが、二発目が撃てねぇ!
 何故やつは動いていないのに、俺の体が崩れ落ちる。
なんなんだこの頭の痛みは。
「仮にも君らの『飼い主』だよ?『飼育方法』ぐらい分かってないと、ねぇ?」
「ゲス、野郎がっ!」
 手が挙がらねぇ。
ヤツに照準を当てて引き金を引く、俺にとって呼吸に等しい行為が何故できない!
「ちぃい!」
 とりあえずヤツから離れないと・・・・と思ったが。
「困った警備員のせいでそれもできねぇ、かっ」
 とっさに落っことした遠藤 キレラだったが、落とした位置で震えているだけで逃げる気配がない。
腰が抜けてんのか。
あの爺が何をするか分かったものじゃない。
俺が逃げたら今度は遠藤に的がいくか。
「爺に容赦なんてなさそうだからなっ!」
「ほう」
 どういう原理でこっちを攻撃してるか分からんが、動いて軸をずらすことくらいできるだろう。
思ったように、急に右へ転がった俺の動きについてこれなかったのか、頭痛が和らいだ。
「もらった!」
 右腕を伸ばし、照準を爺の胸に当て、引き金を引く。
すぐに頭痛が襲ってくるが、もう遅い。
死のプレゼントはお送り済みだ。

「『飼育方法』は分かっているといったはずだが?」

 まっすぐ標的に向かっていた弾丸が、コロン、と軽い音を立てて地面に落ちた。
な、に?
「君が打ち出す弾丸は君自身、君の言葉だろう」
 さっきとは比べ物にならない圧力で頭が締め付けられる。
頭が、ねじ切れる。
「君を狂わせればその弾も狂う、ごく普通の考えだろう?」
 立っていられない。
頭を抱えてうずくまるので精いっぱいだ。
く、そう・・・・こんな爺に!
「最後のチャンスをやろう」
 近くまで寄ってきた爺が俺の体を蹴って転がす。
頭を抱えたまま仰向けにさせられ、痛みで背中は反りかえる。
せめて睨んでやろうと、爺に目を向けると、凍えるように冷たい瞳でこちらを見下ろしていた。
「また私の手足となるというのであれば生かしてやる」
 痛みをコントロールしているのか、意識をぎりぎり奪わずに、視覚も機能する程度の痛みが体を襲っている。
「悪い話ではないだろう?」
 ちくしょう。
恋の為に、あいつの無念を晴らす為に。
何より俺自身の憤怒の為に。
こいつだけはぶちのめしてやろうと思ったのに。
俺にそんな力はねぇってのかよ。
「どうした?痛みでしゃべることもできんか?」
 俺じゃなかったら誰がやるんだよ。
誰がこいつを罰するっていうんだよ。
「首を縦に振ったらいいだけだろう?」

「お、断りだ、どちくしょう!」

 誰もこいつを倒してくれやしない。
俺だけだ。
なまけんじゃねえ。
こんな痛みに屈してんじゃねえ。
俺がやると決めたんだろう。
 ビキリ、ビキリと血管が悲鳴を上げる。
脳みそはビクビクと波打って視界もかすむ。
 そんな痛みに負けてられるか。
恋が受けた、俺が打ち込んだ弾はこの程度じゃねぇだろうが。
 俺は誰だ。
桂木 修司だ。
『トリガーハッピー』桂木 修司だ。
「こんなもんで、くたばってたまるかぁ!」
 右腕で地面をつかむ。
ガタつく体を無理やり起こす。
喰らいついてでも止めてやる。
あんまり『飼い犬』舐めんじゃねえぞ。

「残念だ」
 全く感情のこもってない声で呟いて、校長はポンと人差し指を桂木の額に当てた。
「あぐあっ!」
 想像を越える激痛が、頭だけでなく桂木の全身を蝕む。
ゴトリ、と起き上りかけた体は地面に落ちる。
ビクン、ビクンと痙攣する体は、すでに持ち主の意識がないことを示していた。
 無言でその頭をつかみ、力を注いで完全に破壊しようと校長が手をかける。
「さようならだ、『トリガーハッピー』」
ピタリ、とその手が桂木の頭を掴み、力を入れた瞬間─

 ***

「桂木!」
 急いで階段を駆け下りて、あたりを見渡す。
目に入ったのは横たわる桂木と、その脇に佇む律正学園、校長の姿だった。
 校長は手を伸ばし、桂木の頭をがしりと掴んでいた。
その構図にゾクリと背筋が凍った。
「やめろぉおおおお!」
 叫び声をあげ、足は勝手に走りだしていた。

 ***

 ─ボン、という破裂音とともに『手首から先がはじけ飛んだ』。
「っ!?」
 再度ボン、ボンと音がして、連動する様に体のあちこちが飛散する。
腕を持ちあげれば、断面はまるでネジ切られたかのように先を失っていた。
痛みより先に、この現象が何なのか、何だったのかを認識する。
 忘れようにも忘れ難い。
圧倒的能力。
圧倒的戦力。
圧倒的暴力。
関わっただけで死滅する。
触れただけで壊滅する。
目に入っただけで崩壊する。
当たっただけで全壊する。
狙っただけで瓦解する。
「こ、れはっ!?」
 かつて律正学園にいた、頂点を冠した、究極の存在。
他の追随を許さず、他の存在を気にせず、他の圧力を物ともしなかった化け物。
「どうして『サイアク』が出てくる!!」
 榊 恋。
”化悴の滅離”通称『サイキック』のホルダーにして最強の称号。
絶対不可避の一撃粉砕。
「何故だぁああっ!!!」
 放たれる念動波による肉体破壊。
狙われた体は崩壊を止めない。
 すでに両腕は存在せず、どす黒い血があたりかまわずぶちまけられている。
ガクンと折られた膝、体を曲げ、顔を頭上へと向け、
「う、おぉおおおおおお!」
慟哭。
ボボン、という破裂音とともに校長の頭は消しとんだ。

 ***

 あっという間の出来事だった。
執行者の行動は迅速で、部隊が到着したあとは一瞬だった。
 『お客』達は全員牢獄へ行き、兼事情聴取。
学園の生徒は保護。
中には僕らが、ほぼ木本が、戦った渡のような『見世物』に加担した生徒もいたが、とりあえず全員『保護』らしい。
教頭含め、教師陣もほとんどすべてが加担しており、問答無用で豚箱行き。
 そしてこの一連の事件の元凶である、律正学園校長は『死亡』。
医者も不要。
人間の形を維持していられないほど『破壊』された状態で発見された。
この肉達磨を作りだした犯人は不明。
人間なのかすら疑わしい、と誰かが呟いたのを聞いた。

 ゴーレムの相手をしてくれていたクマさんたちは手慣れたものだった。
いち早く執行者の存在を察知するや否や、逃げかえっていたようだ。
逃げた、と言ってもゴーレムが僕らを襲うことはなかったので、不満などない。
むしろ感謝している。
 そして問題の僕らと言えば。

「また君かね、高原君」
「いやほんと、何でなんでしょう・・・・ねぇ」
 重要参考人として、バベルタワーに軟禁されている具合だ。
机を挟んで向こうにいるのはご存じ『サンダーボルト』だ。
「君は問題を抱えるのが大好きなのかな?」
「平和を愛する純粋無垢な少年のはずです、はい」
 ごめんなさい。
なんか理由とか全然全く存在しないけど、とりあえず許してください。
 あ、そういえば。
「桂木 修司・・・・『トリガーハッピー』はどうなってますか?」
 僕らが見た桂木は、地面に横になり、意識もない状態だった。
まさしく危ない状況そのものだ。
「彼は今病院で治療中だ。命に別条はないようだよ」
「そう、ですか」
「むしろ不思議なほど元気だと聞いている」
 一応彼も『見世物』に加担させられていた身だ。
無理やりだったとはいえ、罪がないといえば嘘になる。
「その、彼は・・・・」
「心配はいらない、何とかしよう」
 それでも彼が裁きを受けるのは理不尽だ。
子供の自分勝手な思いだろうか。
「さて、あまり長い間拘束するわけにもいくまい」
 トン、と机を叩いて『サンダーボルト』が立ち上がった。
「疲れているだろう。また何かあったら連絡するが、とりあえず今日は帰るといい。それに・・・・」
 と、そこで区切って部屋の扉を開いてくれた。
「あんなものを見たんだ。今日は帰ってぐっすり眠るといい」

 バベルタワーのエントランスホールに出ると、木本とカズタカがイスに座って待っていた。
「よう、やっと終わったか」
「遅いよ、高っちょ」
 こいつらが2人だけで話していた内容は少し気になるが、今は置いておこう。
僕もアレを見たが、この2人も同じように目撃している。
あんな、あんな光景は二度と思いだしたくない。
「じゃあ帰ろう」
「おう」
 木本はああいったことに耐性があるのかもしれない。
割と平気な顔色をしていた。
反対に、カズタカは僕と同じように暗い表情だ。
 自動ドアを潜り抜け、表に出ると、既に外は真っ暗だった。
夏特有の、日も出てないのにじめっとした夜だ。
空はどんより曇っている。
今にも雨が降りそうだった。

 外に出て数歩、歩き出した木本がピタリと足を止めた。
「・・・・おい、おいおいおいおい」
ある一点を指差し、ワナワナと小刻みに揺れている。
震えているのか?
「なんでアイツがこんなことにいんだよ!」
 指差す方向を見れば、カインがぽつねんと立っていた。
木本の叫び声に、異様に目立つ鎧がこちらを向いた。
「「お前ら、もう夜もおせえんだからさっさと帰れよ」」
 めっちゃまじめに警備員をしてらっしゃる。
というか木本を全くの無視かよ。
「おい、どういうことだ?お前は牢ん中いるはずだろ?」
「「あ?何だお前?」」
 案の定木本はくってかかる。
どんだけ血気盛んなやんちゃボーイだ。
「いや、カインはあの、心を入れ替えて、ね?」
 もう争いはごめんモードの僕は、なんとか木本の腕を引っ張って止めようとする。
かったいなこの腕。
すごい筋肉。
「カイン、だと?」
ところが止めたはずの矛先が僕に向いた。
「お前あいつを知ってんのか?」
 どうしよっかな・・・・と横を向くとカズタカがいた。
そうじゃんこいつもカイン知ってるじゃん。
僕の視線に気づいたのか、カズタカがこっちを向いた。
いいぞ、助けろカズタカ。
「あの鎧、なんか木本みたいだね」
 ばっかお前・・・・今言うことはそれじゃねえだろ。

 ものすごい勢いで猛り狂った木本を、僕とカインとカズタカで応戦していると、騒ぎに気付いたバベルタワーの人が来た。
当然僕らはお叱りを受け、カインはカインでタワーの中へと引き連れられて行った。
 今隣で木本がすっごい不機嫌オーラを放っているのはそのせいだ。
「全く・・・・95%カズタカのせいだ」
「逆に原因の後5%なんなんだよ・・・・」
「っち」
 木本はさっきから訳もなくこのように舌打ちをを繰り返している。
そのたびに隣に立つ僕はビクリと震えなくてはならない。
カズタカのせいだ。
「あ、じゃあ僕こっちだから」
 分かれ道につき、カズタカがこの居心地悪い空間からの脱出を図ろうとする。
そんなことさせるか。
「カズタカさんの家は僕より先じゃないですかー。そんなとこで立ち止まってないで早く帰りましょうよ」
「ガッデム!」
そんな簡単にいくわけないだろうが。

「俺、ここだから。じゃあな」
「あ、うん。また・・・・」
「おやすみ・・・・」
 カズタカと馬鹿なことやってても一切目もくれないでいた木本がある一角で僕らと別れた。
「っはぁ~」
緊張の糸がほぐれる。
 ほぐれたからと言って話がはずむわけでもない。
逆にさっきまでは異様な空気を払しょくしようと無理にハイテンションで話していた。
本来であれば、木本と同じように暗く沈んでいるはずだ。

 木本と同じように・・・・?
バベルタワーの入り口での出来事を、帰りの道まで引きずるような男だっただろうか。
過ぎたことは過ぎたこととして切り捨てていくようなヤツではなかっただろうか。
だとしたらさっきまでのあの変に暗い木本はどうしたというのか。
 うーん、とうなり始めた僕をしり目に、カズタカがポツリと呟いた。
「やっぱ、あれはきつかったんだよ」
「ん?」
「あんな、校長先生の・・・・さ」
 仮にも僕とカズタカは『バイト』の面接という名目で彼とは一度会話している。
面識があったばかりに、あの光景はトラウマのように目に焼き付いてしまった。
「実際、木本も相当きてるんじゃないかな」
 そういって僕をみたカズタカの目は、心配なのか、恐れなのか、若干震えていた。
 彼も、僕らと同じようにアレに怯えたのだろうか。
それでいて、僕らのように「怖い怖い」と口にすることもなく居るのだろうか。
それは彼のプライドなり、男気なりといったものが邪魔をしているのか。
でもそうなんだとしたら、彼は僕らなんかよりもずっと辛い心境だろう。
「早く、帰ろう」
 顔を上げれば、外套はポツン、ポツンとしか点在していなくて、ずいぶん暗い夜道が続いていた。
「はぁ・・・・」
 どんよりと停滞した空気は、まるで僕らの心をも重く、閉じ込めているようだった。


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    オオスミ(自宅兵士) かわいいかかわいくないかは問題じゃないんだよ。問題はパンモロできるかどうかなんだ。



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    くれない
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    水色パンツうひゃひゃひゃひゃwww



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    くれない
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    カズタカ01
    お前幻覚を聞いているんだよ。



    ファイム
    なんで暇人のカーチャンそんな素敵な声なんだ。



    ざんちゅー
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    ファイム
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